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前十字靱帯断裂
前十字靱帯断裂・・・前十字靭帯は、後肢の膝関節を構成する靭帯の一つで、後十字靭帯とともに膝の中心部で大腿骨(太ももの骨)と脛(けい)骨(すねの骨)を結びつけている靱帯です。前十字靱帯には、? 大腿骨に対して脛骨が前に飛び出さないように制限する? 膝の過剰な伸展を防ぐ? 後十字靱帯とねじりあって脛骨が内側にねじれこまないように支えるなどの役割があります。この前十字靱帯が損傷を受け、部分的または完全に切れてしまう病気を前十字靭帯断裂といいます。
【原因】
前十字靱帯は、肥満により関節に過度の負担がかかることや、加齢に伴い靭帯の強度が落ちる(靭帯の老化)ことなどで損傷を受けやすくなります。また、小型犬で「膝蓋骨脱臼(「膝蓋骨脱臼」をご参照ください)」を起こしやすい傾向がある場合や、骨の形成異常などがある場合にも、膝に急激な外力(外傷や打撲、急なジャンプやダッシュ、急激なターン、事故など)が加わることがきっかけとなり前十字靱帯の断裂を起こす場合があります。
【症状】
靭帯が断裂した直後は、痛みのために肢(患肢)を地面に少ししか着けないような歩様がみられたり、足を挙げたままの状態になります。靭帯の損傷が軽度な場合、体重が軽いワンちゃんでは、2?3日経つと痛みが軽減することも多いようです。しかし、靭帯の損傷が重度な場合や、関節内の他の部分(半月板等)にも障害が起きている場合等には、症状が悪化したり、慢性化することで足を引きずるようにして歩く跛行(はこう)が顕著にみられるようになります。跛行は、特に運動後に顕著に認められます。また、体重が重いワンちゃんでは重度な症状を起こす場合が多く、関節が腫れたり、慢性の関節炎を起こしてしまうこともあります。
【治療】
ワンちゃんの症状や靱帯の状態、体重、運動量、飼い主の希望などによっても治療法は異なりますが、一般的には、内科的治療と外科的治療があります。
●内科的治療
鎮痛剤の投与やレーザー療法などによる痛みの管理や、運動制限、肥満を防ぐための体重管理などを行います。内科的治療で症状が緩和され、良好な生活を送れるケースもありますが、症状が重度な場合や、内科的治療で症状の改善がみられない場合などには外科的治療を行います。
●外科的治療
前十字靭帯断裂の手術にはさまざまな方法があり、ワンちゃんの症状や靱帯の状態などによって、選択する手術方法は異なります。手術には、筋膜を用いて靱帯を再建する方法や、他の靭帯や人工靭帯で前十字靭帯を代用する方法、関節が安定する形に骨を切除する方法などがあり、膝蓋骨脱臼を伴う場合は併せて膝蓋骨の整復手術を行います。
外科的治療を行う場合には、手術の適応時期や手術後の安静期間、ケア方法、麻酔のリスクや費用等をかかりつけの動物病院とよくご相談ください。
【予防】
予防には、体重管理と適度な運動が大切です。肥満にならないように日頃からこまめな体重管理を心がけましょう。フローリングなどの滑りやすい床材は避ける、足の裏の毛が伸びてくるワンちゃんは滑らないようにするために足の裏の毛を短くカットする、ジャンプや過度な運動をさせないなど、日常生活での注意も必要です。膝蓋骨脱臼を発症しているワンちゃんの場合には特に注意しましょう。また、ワンちゃんに前十字靭帯断裂が疑われるような症状が見られた場合は早めに動物病院にご通院ください。
